大事なのは内定の数ではなく、自分で決めたという事実です。
告白されて、断ればひとりに戻る。そういう状況で「この人でいいのかな」と考えても、答えは出ません。比べる相手がいないからです。だから条件ではなく、いま手元にあるかどうかで決めてしまいます。
転職も同じです。内定が1社だけだと、比べる材料がありません。そして入社後に何かあったとき「あのとき他に選択肢がなかったから」と考えてしまいます。逆に、比べたうえで自分で決めたなら、その判断は自分のものになります。
断ればひとりに戻る、という状況
告白されたとします。相手のことは悪くない。でも、これでいいのかは分からない。
このとき、断ればひとりに戻ります。他に誰もいない状態で「この人でいいのか」を考えても、答えは出ません。 比べる相手がいないからです。
だから多くの場合、条件で決めているつもりで、いま手元にあるかどうかで決めています。
転職の内定も、同じ構造です。
1社だけの内定は、選択ではなく受諾
内定が1社しか出ていないとき、人は「選んで」いません。受け入れているだけです。
断ればゼロに戻る。次がいつ出るか分からない。返答期限は数日後。この状況で冷静な判断はできません。条件をよく確認しないまま、承諾のボタンを押すことになります。
そして入社後、何かうまくいかないことがあったとき、こう考えます。
「あのとき、他に選択肢がなかったから」
これが後悔です。会社が悪かったのではなく、自分で選んだ実感がないことがつらいのです。
自己応募だと、時期がずれます
比べるには、複数の内定が同じ時期に手元にある必要があります。ところが、自分で応募していると、これがなかなか起きません。
理由は構造にあります。
1社ずつ応募して、結果を待って、だめなら次に出す。この進め方だと、内定は常に1社ずつしか手元に来ません。
同時に出したとしても、会社によって選考のスピードが違います。 A社は面接1回で1週間、B社は3回で1か月。A社の内定が出たとき、B社はまだ書類選考中です。そしてA社の返答期限は、B社の結果を待ってくれません。
これは応募する人の能力の問題ではありません。タイミングを調整する手段を持っていないというだけです。
エージェントが入ると、時期を動かせることがあります
ここが、転職エージェントを使う実利のひとつです。
「求人が多い」「無料で使える」といった説明はよく見ますが、選考の時期をそろえられるという点は、あまり語られません。
具体的には、こういう調整ができる場合があります。
面接日程の前後を動かす。 早く進んでいる会社の日程を少し後ろにする。逆に、遅れている会社に早めてもらえないか打診する。
内定の返答期限を延ばしてもらう。 他社の選考が進んでいることを伝え、待ってもらえないか相談する。
選考の見通しを事前に把握する。 面接が何回あり、結果が出るまでどれくらいかかるか。応募前に分かれば、時期の設計ができます。
ただし、必ずできるとは限りません。 企業には採用の計画があり、動かせない事情もあります。それでも、求職者が一人で言い出すより、間に入る立場から相談したほうが通りやすいのは事実です。
内定の数が目的ではありません
ここは誤解されたくないので、はっきり書きます。
複数の内定を取ることが目的ではありません。 内定をいくつ集めたかは、誰かに自慢する数字ではないですし、多ければ良いというものでもありません。
目的は、比べる基準を持ったうえで、自分で決めることです。
だから、候補が1社しかない場合でも構いません。あらかじめ決めた条件と照らして、納得できたなら、それは自分で選んだことになります。「他になかったから」ではなく「この条件を満たしていたから」と言えるなら、判断は自分のものです。
数を増やそうとして、行きたくもない会社まで受けるのは本末転倒です。本気で行きたい先を数社。 それで十分です。
断ると決めたら、すぐに伝える
複数の選考を進めると、必ず断る先が出ます。ここは丁寧にお願いしたいところです。
辞退を決めたら、できるだけ早く連絡してください。
企業は、あなたのために席を空けて待っています。他の候補者への連絡を止めていることもあります。返事が遅れるほど、その席が埋まらない時間が長くなります。
伝える内容は簡潔で構いません。辞退する意思と、簡単な理由。詳しく説明する必要はありません。言いにくいから先延ばしにするのが、いちばん相手に迷惑をかけます。
これは礼儀の話でもありますが、実務の話でもあります。同じ業界にいれば、どこかでまた関わることがあります。
「なぜこの会社にしたのか」を言えるか
最後に、決めるとは何かという話です。
決めたと言えるのは、理由を自分の言葉で説明できる状態のことです。
なぜその会社を選んだのか。3つ挙げられますか。そして、なぜ他を選ばなかったのか。こちらも言えますか。
断った理由が言えるなら、比較ができています。 逆に「なんとなく」「他になかったから」しか出てこないなら、まだ材料が足りていません。
そして、完璧な会社はありません。何を受け入れるのかを自覚しておいてください。 通勤が少し長い、最初は覚えることが多い。分かったうえで選んだなら、入社後にそれが理由で揺らぐことは減ります。
内定が出てからでは、遅いことがあります
この記事で伝えたいことは、ひとつです。
選ぶ側で終わるための準備は、応募する前から始まっています。
内定が出て、期限が3日後になってから相談されても、できることは限られます。逆に、応募先を決める段階から相談してもらえれば、時期の設計ができます。
選考中でも構いません。日程の調整や、内定時期の見通しについて相談できます。
迷ったまま期限を迎えるのが、いちばんもったいない終わり方です。
内定の返答に迷う方の相談
内定が出てから相談に来る方が多くいます。返答期限が迫っていて、迷ったまま決めなければならない状態です。もっと早い段階なら打てる手がありました。
断るとゼロに戻るため、冷静に考えられません。応募の段階から設計しておく必要があります。
期限は交渉できる場合があります。ただし早めに相談することが前提になります。
事情を伝えれば調整できることがあります。黙って待つのが一番よくありません。
比べられる状態を作る流れ
内定が出てからでは動かせないことがあります。応募する前から設計しておきます。
いまどの段階にいますか
段階によって打てる手が変わります。近いものを選んでください。
近いものを選んでください
応募のタイミングを設計できるのは今だけです。本気で行きたい先を数社選び、時期を近づけて応募すると、比べられる状態を作れます。
- 本命を数社に絞る
- 応募時期を近づける
- 選考の期間を調べる
1社だけだと決められない4つの理由
選択肢がひとつしかない状態では、判断そのものが成り立ちません。
そろえる3つのタイミング
応募の時期
候補を絞ったら、なるべく近い時期に出します。ここがずれると、あとの調整が難しくなります。
選考のペース
会社によって面接の回数も期間も違います。進みが早い先と遅い先があると差が開きます。
返答の期限
内定が出たあとの返答期限です。ここは交渉できる場合があります。
自分で決めるためのワーク
決めるとは、理由を自分の言葉で言えることです。人に説明できる状態を作ります。
選んだ理由
なぜその会社なのかを3つ書きます。条件だけでなく、任される仕事も含めます。
断った理由
他を選ばなかった理由も書きます。ここが書けると比較ができています。
受け入れる点
完璧な会社はありません。何を受け入れるのかを自覚しておきます。
比較と決断のワークシート
頭の中だけで比べると、印象の強いほうに引っ張られます。書き出しましょう。
1. 候補と選考の状況
- 全社の段階を並べる
- 内定が出そうな時期を書く
2. 決めた条件で採点
- 3つの条件で全社を見る
- 同じ物差しで比べる
3. 選ぶ理由・断る理由
- どちらも書く
- 書けなければ情報が足りない
4. 受け入れること
- 完璧を求めない
- 自覚しておく
ワークのゴール
「なぜこの会社にしたのか」を、自分の言葉で説明できる状態にすることです。
候補が1社でも、条件と照らして納得できたなら、それは自分で決めたことになります。
内定前後によくある失敗
後悔しないためのチェック
チェックを入れると、進め方が整理できているか分かります。保存はされません。
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この記事の作成・確認体制
よくある質問
Q. 複数の会社に同時に応募してもいいのですか?
Q. 内定の返答期限は延ばせますか?
Q. 内定が1社しかない場合はどうすればいいですか?
Q. 内定を辞退するときは何を伝えればいいですか?
Q. 選考の時期をそろえるにはどうすればいいですか?
選ぶ側で終われるように、進め方から相談できます。
応募の時期や選考の進み方は、事前に設計できます。内定が出てからでは動かせないこともあるため、早い段階でご相談ください。