相談先は解決したいことで選びます。
どの窓口が優れているという話ではありません。求人を紹介してほしいのか、キャリアの方向性を整理したいのか、失業給付などの手続きを知りたいのか。目的によって、適した相手が変わります。
そしてもう一つ大切なのが、費用を誰が負担しているかです。ここを知っておくと、受け取った助言をどう受け止めればよいかが分かります。
「どこに相談すればいいか」で止まってしまう理由
転職を考え始めたとき、多くの人が最初に困るのは求人探しではありません。誰に話せばよいかが分からず、そこで止まってしまうことです。
友人に話せば「今の会社のほうがいいよ」と言われるかもしれない。家族に話せば心配をかけるかもしれない。上司に話せば居づらくなるかもしれない。人材紹介会社に登録したら、転職を急かされるかもしれない。
こうして考えているうちに、数か月が過ぎることがあります。
相談先が決まらない原因は、多くの場合「何を相談したいのかが自分でも分かっていない」ことにあります。逆に言えば、困っていることを一言にできれば、行き先はほぼ自動的に決まります。
費用の出どころが、助言の性格を決める
窓口を比較するとき、いちばん実務的な視点がこれです。
公的機関は税金で運営されているため、特定の企業に誘導する動機がありません。その代わり、扱うのは地域の求人が中心で、担当者が特定分野に精通しているとは限りません。
人材紹介会社は、採用が決まった企業から報酬を受け取ります。だから求職者は無料で使えます。ただしこの仕組み上、話は求人紹介を前提に進みやすくなります。これは隠すべきことではなく、利用者が知っておくべき前提です。当社も有料職業紹介事業者であり、同じ仕組みで運営しています。
有料のキャリア相談は、相談者本人が費用を負担します。求人紹介がないぶん、「転職しない」という結論も含めて中立に検討しやすいのが特徴です。一方で、費用は自己負担になります。
どれが正しいという話ではありません。それぞれ立場があり、得意な領域が違うというだけです。その立場を知ったうえで話を聞けば、助言をどう受け止めればよいかが判断できます。
併用しても構わない
相談先は一つに絞る必要がありません。
制度の手続きは公的機関で確認し、特定分野の求人は人材紹介会社に相談する。この組み合わせは無理なく成立します。人材紹介会社を複数使うことも可能です。
ただし注意点が一つあります。同じ企業に別々の経路から応募すると、企業側でも紹介元でも混乱が生じます。どこ経由でどの企業に応募したかは、必ず自分で記録しておいてください。
相談の場で伝えたほうがよいこと
遠慮が結果を悪くする場面があります。
短い在籍期間やブランクを隠すと、それを前提にした提案が来ます。選考の途中で事実が判明すれば、そこで止まります。最初から共有しておけば、その経歴でも通る先を一緒に探すことができます。
希望条件も同じです。本当は勤務地を動かしたくないのに、遠慮して「どこでもいい」と答えると、通えない求人ばかり届きます。優先順位まで含めて伝えるほうが、結果的に早く進みます。
そして、決めていないなら決めていないと言ってください。「まだ転職するか分かりません」と最初に伝えておけば、その前提で話が進みます。
相談してよいタイミングに決まりはない
在職中でも、退職後でも、転職するか迷っている段階でも構いません。
強いて言えば、迷っている時期こそ相談の効果が出やすい傾向があります。応募先が決まってからでは、選択肢を広げる余地が少なくなっているためです。
現職に残るという結論になっても、それは失敗ではありません。何が不満で、それが転職で解決するものなのかを切り分けた結果として残るなら、その判断には根拠があります。
一人で抱え込んだまま時間が過ぎるより、一度話して整理するほうが、次の一歩は決めやすくなります。
相談先選びでよくある悩み
相談したい気持ちはあるのに、どこへ行けばよいか分からず動けないという声をよく聞きます。実際には、相談先の違いよりも「何を相談してよいか分からない」ことがつまずきの原因になっています。
転職するかどうか決まっていない段階の相談は珍しくありません。整理のために使う相談も相談です。
相談の結果、現職に残る判断になることもあります。決めるのは本人です。
短い在籍やブランクがある状態こそ、伝え方の整理で結果が変わりやすい領域です。
相談までの流れ
相談は思い立った日に予約しても構いません。ただし、先に少しだけ整理しておくと、限られた時間を有効に使えます。
あなたに合う相談先はどこか
いま最も解決したいことを選ぶと、向いている窓口が分かります。
近いものを選んでください
実際の求人を前提に話が進みます。希望条件を伝えると、条件に合う求人の有無や、条件を変えた場合の選択肢まで確認できます。求職者は費用を負担しません。
- 希望条件を3つに絞っておく
- 経歴を時系列でメモする
- 紹介された求人は自分でも調べる
相談先ごとの違いを4つの軸で見る
窓口の性格は、次の4点を見ると整理できます。同じ「無料」でも中身が違います。
主な相談先の性格
公的機関
無料で誰でも利用でき、地域の求人と失業給付や職業訓練の手続きを扱います。制度面の相談では最も確実な窓口です。
人材紹介会社
求職者は無料です。採用が決まった企業から報酬を受け取る仕組みのため、求人紹介と選考支援が中心になります。
有料のキャリア相談
相談者本人が費用を負担します。求人紹介がない代わりに、転職以外の選択肢も含めて整理できるのが特徴です。
相談前に整理する3つのこと
完璧に準備する必要はありません。次の3つがあれば、初回の相談は十分に進みます。
今の不満
何が嫌なのかを具体的に。仕事内容か、人間関係か、働き方か、待遇か。
変えたいこと
不満の裏返しとして、次に何を実現したいのかを一言にします。
譲れない条件
勤務地、休日、働き方などから、これだけは外せないものを選びます。
相談メモのワークシート
限られた時間で話すために、事前に書き出しておくと役立ちます。空欄があっても構いません。
1. いちばん困っていること
- 一言で言い切る
- 複数あれば優先順位をつける
2. これまでの経歴
- 時系列で並べる
- 短い在籍も隠さず書く
3. 聞きたいこと
- 疑問は事前に書き出す
- その場で必ず確認する
4. 決めていないこと
- 決まっていないと正直に言う
- 急かされたら保留にしてよい
ワークのゴール
「何を相談したいのか」を相手に一言で伝えられる状態にすることです。
空欄そのものが、整理できていない箇所を示すサインになります。そこから話を始められます。
相談でよくある失敗
相談前チェックリスト
チェックを入れると、いまどこまで準備できているかが分かります。保存はされません。
次に読む記事
この記事の作成・確認体制
よくある質問
Q. 転職エージェントの相談はなぜ無料なのですか?
Q. 公的機関と人材紹介会社はどちらがいいですか?
Q. 転職するか決まっていなくても相談できますか?
Q. 相談したら必ず応募しないといけませんか?
Q. 短い在籍やブランクがあっても相談していいですか?
何を相談すればいいか決まっていなくても大丈夫です。
転職するかどうかを決める前の段階から相談できます。今の状況を整理するところから一緒に始めましょう。