エンタメ業界で働くことと、エンタメの制作をすることは同じではありません。
映画を作る人やアニメを描く人は目立ちますが、その裏では何倍もの人が業界を支えています。ライブ一つとっても、営業、広報、会場運営、人事、経理、グッズ企画、マーケティングなど、多くの職種が関わっています。
企業が採用するのは「業界」ではなく「職種」です。だからこそ、「エンタメ業界に入りたい」より「エンタメ業界で何をする人になるか」を考えた方が、道は開けます。
エンタメ業界で働きたい、の落とし穴
「エンタメ業界で働きたい」。音楽が好き、映画が好き、アニメが好き、ゲームが好き、ライブやイベントが好き。そんな気持ちから転職を考える人は少なくありません。ただ、詳しく話を聞くと、多くの人が「求人が全然見つからない」という壁にぶつかります。検索しても募集が出てこない、未経験歓迎が少ない、応募しても倍率が高い。そして「やっぱり無理なのかな」と諦めてしまう人もいます。
しかし多くの人は、最初の時点で勘違いをしています。それは「エンタメ業界で働く=制作側になること」だと思い込んでいることです。実際には、エンタメ業界で働く方法はもっとたくさんあります。そして企業が本当に求めているのは、意外にもクリエイターだけではありません。
エンタメ業界の求人が少なく見える理由
まず理解しておきたいのは、エンタメ業界は他業界と比べて市場規模が小さいということです。製造業やIT業界、人材業界、小売業、建設業などは数多くの企業が存在しますが、音楽レーベル、芸能事務所、映画制作会社、アニメ制作会社などは企業数そのものが限られています。単純に求人数が少ないのです。
さらにエンタメ業界は人気があります。1つの求人に何十人、何百人と応募が集まることも珍しくありません。企業側からすると、募集を出せば応募が集まるため、大量採用を行う必要がありません。結果として「求人が少ない」という状況になります。これは、あなたに実力がないからではなく、業界の構造によるものです。
多くの人は「業界」と「職種」を混同している
転職活動で非常によくあるのが、業界と職種を混同してしまうことです。「エンタメ業界で働きたい」と言う人に「どんな仕事をしたいですか」と聞くと、答えられないケースがあります。これが重要です。なぜなら、企業が採用するのは業界ではなく職種だからです。
エンタメ企業も普通の会社です。音楽会社にも営業職があり、芸能事務所にも人事がいて、ゲーム会社にも経理がいます。会社である以上、営業、人事、経理、総務、マーケティング、カスタマーサポートなどの仕事が必要になります。しかし求職者は「エンタメ企業」ばかり見ていて、「その中でどんな仕事をするか」を考えていないことが多いのです。
実はエンタメを支える仕事の方が多い
映画を作る人も、アニメを描く人も、アーティストも目立ちます。しかし実際には、その裏で何倍もの人が支えています。ライブイベント一つとっても、ステージに立つのは数人でも、その裏には営業、スポンサー担当、広報、会場運営、人事、経理、グッズ企画、マーケティング、システム担当など、多くの人が関わっています。
つまり、エンタメ業界で働く=クリエイター、ではありません。むしろ人数で考えれば、エンタメを支える仕事の方が圧倒的に多いのです。ここに気づくと、応募できる職種の幅が一気に広がります。
エンタメ好きにおすすめなのは営業職
意外に思われるかもしれませんが、エンタメ業界で働きたい人におすすめなのが営業職です。営業はエンタメの価値を世の中に広げる仕事だからです。イベントのスポンサー営業、広告営業、タイアップ企画、法人向け提案など、単にモノを売るだけでなく、企業同士をつなぎ、新しい企画を生み出し、エンタメを広める仕事です。
エンタメ企業でも営業職の採用は継続的に行われています。また営業経験は他業界でも評価されるため、キャリアの幅も広がります。エンタメが好きで、人に働きかけて価値を届けたい人には向いています。
マーケティングはエンタメとの相性が良い
エンタメが好きな人の中には、「作品を作りたい」というより「作品を広めたい」という人もいます。そんな人に向いているのがマーケティングです。SNS運用、広告運用、キャンペーン企画、ファン分析、プロモーション企画など、近年はSNSの影響力が大きく、エンタメ企業もマーケティング人材を重視しています。作品そのものを作らなくても、ヒットを支える重要な仕事です。
人事や採用も立派なエンタメの仕事
あまり注目されませんが、人事も非常に重要です。アニメ会社もゲーム会社も芸能事務所も、人がいなければ成り立ちません。優秀な人材を採用し、育成し、定着させることは企業の成長に直結します。エンタメ業界に関わりながら、人と組織を支える仕事をしたい人には向いています。
「好き」を仕事にする人が失敗する理由
ここで少し厳しい話をします。転職で失敗する人の多くは、「好き」だけで仕事を選んでいます。映画が好きだから映画業界、音楽が好きだから音楽業界。悪いことではありませんが、好きと仕事は別です。映画が好きでも営業は苦手かもしれませんし、音楽が好きでも人と話すのが苦手かもしれません。だから大切なのは、「何が好きか」だけでなく「何が得意か」を考えることです。
実際に長く活躍している人を見ると、好きだけで入った人より、専門性を持っている人の方が強い傾向があります。営業が得意、マーケティングが得意、データ分析が得意、採用が得意、企画が得意。こうした人たちは業界が変わっても活躍でき、結果的にエンタメ業界でも必要とされます。
「エンタメ×○○」で考える
転職活動では、「エンタメ業界に入りたい」ではなく、「エンタメ×何で勝負するか」を考えることが重要です。エンタメ×営業、エンタメ×マーケティング、エンタメ×人事、エンタメ×IT、エンタメ×経理、エンタメ×広報。この考え方ができる人は強くなります。なぜなら、エンタメ業界以外でも経験を積めるからです。
エンタメ業界は人気があるからこそ、最短ルートだけが正解ではありません。IT企業でマーケティング経験を積んでからエンタメ企業へ転職する、人材業界で採用経験を積んでからゲーム会社の人事になる。こうした遠回りが、かえって成功率を高めることがあります。企業から見ても、未経験者より何かしらの専門性を持っている人の方が魅力的だからです。
エンタメ業界で働きたい。その気持ちは素晴らしいものです。ただ、業界だけを見るのではなく、自分がどんな専門性を身につけたいのかを考えてみてください。「エンタメで働きたい」ではなく「エンタメ業界で何をする人になるか」を考えることが、理想のキャリアへの第一歩になります。方向がまだ決まっていない段階でも、得意なことと関わり方を整理するところから、一緒に始められます。
エンタメ業界を志望する人からよくある相談
エンタメ業界を希望する相談は一定数ありますが、詳しく聞くと「どんな仕事をしたいか」まで決まっていないケースが多くあります。応募前の相談では、業界より先に「業界で何をするか」の整理から始まることが多いです。
制作職だけを探していることが原因の場合があります。営業・マーケ・人事など業界を支える職種に視野を広げます。
「何が好きか」だけでなく「何が得意か」を整理し、掛け合わせる専門性の候補を出します。
先に別業界で専門性を積んでから入る遠回りも戦略になります。入口職種から考えます。
エンタメ業界を目指すキャリアの組み立て方
人気の業界だからこそ、最短ルートだけが正解ではありません。掛け合わせる専門性を決めることが、遠回りに見えて近道になります。
あなたの現在地診断
近い状態を選ぶと、エンタメ業界を目指すために今やるべきことが分かります。求人を見る前の整理に使ってください。
今の状態に近いものを選んでください
まず「業界」と「職種」を分けましょう。制作以外に、営業・マーケ・人事など業界を支える仕事があることを知るところから始めます。
- 好きと得意を分けて書く
- 業界を支える職種の例を知る
- 興味のある職種を2〜3つ見る
エンタメ業界の求人が少なく見える理由
求人が見つからないのには理由があります。制作職だけを探していると、実態より選択肢が狭く見えてしまいます。
エンタメ業界を目指す前に整理する3つのこと
好きと得意を分ける
作品が好きなことと、その仕事が得意なことは別です。得意な行動を書き出します。
掛け合わせる専門性
営業、マーケティング、人事、ITなど、エンタメと組み合わせる軸を1つ選びます。
関わり方の希望
作品を作りたいのか、広めたいのか、支えたいのか。関わり方を明確にします。
エンタメ×専門性の組み合わせワーク
エンタメへの関わり方は一つではありません。得意な行動から、相性の良い掛け合わせを見つけましょう。
人に働きかけるのが得意
エンタメ×営業と相性が良い方向です。スポンサー営業やタイアップで価値を広げます。
広める・分析が好き
エンタメ×マーケティングと相性が良い方向です。SNS運用やファン分析でヒットを支えます。
人や組織を支えたい
エンタメ×人事と相性が良い方向です。採用・育成・定着で会社の成長を支えます。
エンタメで何をするかを書き出すワーク
頭の中だけで考えると方向が曖昧になります。「得意なこと」「関わり方」「掛け合わせ」を分けて書き出しましょう。
1. 得意なこと
- 好きと得意を分けて書く
- 評価された経験も書く
2. 希望する関わり方
- 作る・広める・支えるを選ぶ
- 制作以外も候補に入れる
3. 掛け合わせる専門性
- まず1つに絞って考える
- 近い業界での経験も書く
4. 面接で伝える表現
- 「好き」でなく「成果を出せる」で書く
- 貢献のイメージまでつなげる
ワークのゴール
「エンタメが好き」ではなく、「エンタメ業界で何をする人になるか」を言える状態にすることです。
全部埋める必要はありません。空欄がある場合は、そこを一緒に整理できます。
エンタメを支える職種の導線
制作以外で業界を支える方向は複数あります。仕事内容の違いを職種ガイドで確認しましょう。
エンタメ志望で迷いやすい失敗例
エンタメ業界を目指す準備チェックリスト
チェックを入れると、方向性がどこまで整理できているか分かります。保存はされません。
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この記事の作成・確認体制
よくある質問
Q. エンタメ業界の求人が少ないのはなぜですか?
Q. 制作以外でもエンタメ業界で働けますか?
Q. 未経験でもエンタメ業界に入れますか?
Q. 「好き」を仕事にするのは避けた方がいいですか?
Q. やりたい職種が決まっていなくても相談できますか?
エンタメ業界で何をするか決まっていなくても相談できます。
得意なこと、希望する関わり方、掛け合わせる専門性を一緒に整理できます。無理に応募する必要はありません。